夏の日差しと狼のいろ。
「あ…」
ふとツキは気がついた。
あの2ヶ月前の夜の遠吠え…引き裂かれた死体―…
ウルーの狼の姿でやったんだ…と。
「ウルー…ウルーはどうして狼になれるの」
ツキは勇気を出して聞いてみた。
銀色の前髪の下から黒い瞳がじっとツキをみつめた。
(な…なんだろ)
ツキは緊張して固くなった。
「あの…、言わなくてもいいよ」
ツキはそう言い、慌てて立ち上がった。
「いや、教えてやるでも言うなよ」
ツキはまたその場にすとんと座って頷いた。
「知ってるか滅んだ狼一族―…」
「銀月狼-シルバーウルフ-を。」
ウルーがそう言った瞬間ツキははっとした。
思い出す。
それは昔聞いた世界でもっとも美しい―
しかし凶暴で大きな狼だったことを。
その一族は気まぐれでその凶暴さゆえに狩を成す者-ハンター-に
300年前に滅ぼされたのだと。
そしてその特徴は―
銀色の毛並と
黒い漆黒の目だったことを。