夏の日差しと狼のいろ。


 「……」


 ツキはしばらくされるがままに
 ぽかんとしていたが
 やがてハッとする。




 「ん?どーした?」


 ツキが屋根の下を
 覗き込むとイクアも同じようにした。



 「あ…」


 下ではウルーとアルが
 ゴンドラのホントの持ち主ー…


 イクアの師匠らしき人と
 なにやら言い合っている。


 「あーあ、師匠、キレてる」


 イクアは苦笑いを浮かべ、
 屋根に寝転んだ。




 金髪の前髪がさらりと風にゆれる。


 ツキはびっくりして
 イクアの近くによった。




 「あれ、大丈夫なの?
  もめてない?」


 「うん、もめてるね」

 イクアはニッコリと微笑むと
 手をパタパタした。




 「大丈夫だーって!ツキも寝ろよ」


 横をパタパタ叩くイクアは
 よく見ると整った顔をしている。



 どこかの貴族みたいだー…







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