夏の日差しと狼のいろ。


ツキはゆっくりと口を開いた。



「でも…銀月狼は…人語を話せても、人間にはなれないんでしょ…?」


その言葉にウルーは哀しそうに微笑んで


「だからハーフなんだ」

そう言った。

ツキは、理解した。


ウルーは大きな狼の姿にもなれるんだと。



黙りこんだツキを見て


「俺が…怖いか」


そう、向こうを向いて呟くように問いかけた。
髪に隠れて、その表情は見えない。



「ううん…不思議、だったの」


ツキはそんな答えを返していた。


確かに驚きはしたけどウルーは凶暴というより静かで幻想的だった。


綺麗な銀髪などもその雰囲気を高めていた。



ウルーはツキの言葉に驚いた顔をした。



「不思…議?」


「うん、不思議。優しくて、幻想的で・・・なのに狼で。」



にこっと微笑むと、

「ちっとも怖くなんてないよ」

そう言った。


その言葉にウルーは

「…珍しい奴だな」


そう言って少し嬉しそうに笑った。

< 15 / 376 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop