夏の日差しと狼のいろ。
「そう、だから
ツキこそ"神"であるべきなんだよ」
イクアはふうと
ため息をついた。
「だから今
ミラ・レヴィラには神がいねーんだ」
そんな記憶、ない。
覚えているはずもなかった。
ツキはしばらく呆然んとし
黙り込んだ。
いろいろ、不安が生まれた。
確かに自分がなんなのかは
知りたかったけど…
しばらくしてイクアが
ツキの頭にぽん、と手をのせる。
「大丈夫だぜ、俺が居るし」
「……。」
イクアはニッと笑うと
ツキの頭をわしわしと
撫でた。
それでもツキの不安は
拭えない。
ミラ・レヴィラの話をしたときの
アルの様子。
"あれ"を思い出していたときの
ウルーの表情。
ツキはこれ以上、
何も聞きたくなくなっていた。
それを悟ったのか
イクアは黙って
懐から何かを取り出す。
「コレ」