夏の日差しと狼のいろ。


 「あ、それ…!」


 イクアが取り出したのは
 ツキが夢の中で手に入れた、
 あの青く輝くペンダントだった。



 「ツキも、もってんだろ?」

 「うん」

 返事をすると、
 ツキも首のあたりにさげてある
 ペンダントを取り出す。





 それを見て、
 イクアは安心したように言う。


 「それもってたら
  大丈夫だから」




 それだけ言うと
 イクアはのびをした。


 「……。」







 ツキはふと思ったことが
 あった。


 それを、口に出してみる。



 「私の正体…かは
  あんまりわかってないけど
  ウルーたちにさっきの話、

  聞かれないように
  してくれたの?」




 わざわざツキ一人を
 こっちに引っ張ったのも
 ソレを考えて、


 なのかもしれない。



 「そんなんじゃねーよ」


 イクアはそっぽ向くと、
 ツンとして言った。




 「あはは」

 なんだか愉快で
 ツキは笑ってしまう。


 「…笑うなよ」


 さっきまでの
 意地悪な態度が嘘のように


 イクアは照れて

 そっぽを向いていた。

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