夏の日差しと狼のいろ。
その頃ウルーはなかなかツキが帰ってこないから心配になり始めていた。
あたりはもう、薄暗い。
何かよくない予感がした。
たった2ヶ月だけだがウルーの中でツキは大切な存在になっていた。
一人寂しく暮らしていた自分には、はじめての経験だったのだ。
ツキはおまけに、自分を怖がらない。
ツキに…もし何かあったら。
そう思うとのんびりしていられなくなった。
ウルーは家から出て小川のほうへ向かった。
無事ならいつものように
魚を持ちながら微笑んで走ってくるハズだ。
ウルーは随分暗くなった辺りを見回し小川へ急いだ。
ツキのやってくる気配はなく、
何かあったのは明らかだった。
ウルーは光のごとく凄い速さで走り出した。
ずんずん走っていくと
砂漠にぽつんと何かが横たわっているのが見えた。
(ツキ……っ!!)
倒れているのは紛れもなくツキだった。