夏の日差しと狼のいろ。
少女の住む村は珍しい生き物を集めて見せ物にする場所だった。
少女はただの12歳くらいの
女の子のはずだった。
しかし少女の
その小さな頭には人ならざる獣の耳があり立派な尻尾もあった。
鮮やかな茶色の瞳はいつも狼のように鋭く光っていた。
少女は狼の血が混じった人間だった。
首には重くて大きな首輪をつけられ、
太い鎖でつながれて牢屋に閉じ込められていた。
そして必要な時だけ利用された。
見せ物として戦わされたり、奴隷として買い取られていくのだ。
食べ物も少なく少女はやせこけていた。
それはただの獣扱い、いやそれよりもひどいものだ。
その中で少女はいつも瞳を憎しみで光らせていた。
いつか逃げ出そうと
チャンスを伺って。
その日は突然来た。