夏の日差しと狼のいろ。


 「…っはぁ、はぁ…」


 やっとウルーが顔を離した。


 ツキはそのままウルーの
 腕の中で赤い顔でぐにゃりとなる。
 



 息が乱れて、頭が痺れていた。



 そしてウルーは言った。





 「ツキは俺のだ。わかったか」


 「………」



 ちらりと見るとイクアは

 真っ赤になっていた。



 なんでイクアが真っ赤なんだろう、

 と思っていると
 イクアがいきなり立ち上がる。




 「あぁあー!もう!
  ツキ、顔がエロいんだよ!」



 そう言うと一人真っ赤になって
 バカヤロー!とか言いながら
 ダダダダっと

 走って部屋から出ていってしまった。





 「…ん…」



 なんだか、変なことを言われた気が
 したが、今は反抗する力はない。



 ただでさえお酒で
 頭がぼんやりなツキは

 くて、っとしていた。
 





 「……ツキ?」


 ウルーがゆっくりと
 こっちに目を向けた。



 漆黒の瞳がこちらを見る。



 「…どこだ?」


 え?、と聞き返す前に
 ツキはベッドに倒された。



 向こう側のベッドでは
 リルとミリシアが

 寝息を立てている。










 「わ、ちょっと…っ!ウルー?!」



 ツキはびくっとして
 声をあげた。



 ウルーの顔が
 首の辺りにあったからだ。


 匂いを嗅いでいるらしかった。




 (ああぁ…もう…
  どうしちゃったのウルー!?)



 しばらくそうしていると
 急に首の一部分を


 ゴシゴシ擦りだした。



 「ウルー!、い…いたいよ…」

 「ここだな」




 そこはイクアにキスされた、
 場所だった。



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