夏の日差しと狼のいろ。


 *


 夕方ごろ。
 ツキは支度をすべて終えて
 ベランダから町を見渡していた。


 さんさんと照る太陽に、
 水が反射する水の街。



 短い間しか居なかったこの街なのに
 色々あったような気がした。





 後ろの部屋を振り向くと、
 ベッドではまだウルーが

 寝ていた。



 アルは昨夜から
 この部屋に来ず、自分の部屋に
 引きこもっているらしい。



 ミリシアは食料を準備しに
 キッチンに行ったまま。



 静かなこの部屋のベランダで
 ツキはゆっくりとノビをした。



 (私は、ミラ・レヴィラに帰らなきゃ
  いけないんだ)



 力を取り戻し、
 ミラ・レヴィラに帰る。


 よくわからないけど
 自分が居ないのはダメらしい。

 自分がそこに戻ると
 この旅は終わってしまうのだらうか
 と、考えかけたが、やめた。




 未来のことはわからないから、
 考えるのをやめた。



 「……」


 ツキはくるりと見を翻すと
 ばふっとベッドに寝転んだ。

 
 明日に備えて、寝よう…。



 



 ツキはしばらくして
 眠りについた。
< 213 / 376 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop