夏の日差しと狼のいろ。
ぐにゃりとまた空間が歪み
ソレは姿をあらわした。
「狼ぃ?ボクのだいっきらいな?」
長い赤髪の少女が
嫌そうにいった。
「僕も嫌いだっ」
それに賛同するように、
同じく赤髪の少年が言う。
二人の年齢は見た目では
12歳くらいで、
そっくりな顔立ちから
双子とわかる。
クスクスと笑う二人は
あきらかに人間ではなかった。
頭の上にのびた灰色の長い耳に
背中から"金色の羽"がはえている。
ツキたちはそれが
月兎族だと一瞬でわかった。
「ねぇ~お兄?狼はさぁ
殺していいよねぇ?」
赤い瞳を殺意にひからせ、
少女はツキとウルーを見ながら
少年に聞いた。
「もちろん!狼は悪い奴だよ」
少年もニィっと笑い
手にもった槍を振り回す。
「えっへへぇ!そこの茶色、
ボクのぉ♪」
そう言って
少女はツキに迫ったー…