夏の日差しと狼のいろ。




 「アルちゃぁぁぁん!!」


 ツキの叫び声も掻き消される
 ほどの、轟音が響いた。

 
 直後、爆風がおこり
 ツキたちは吹っ飛ばされた。








 だいぶ飛ばされ、
 ツキは起き上がった。


 「アルちゃ…」


 アルの姿はもう見えなかった。


 遠く、遠く離れて。


 横ではいつの間にか
 人間に戻ったウルーが

 共に呆然としている。



 ぱっ、ぱっ、と
 何度か光が見え、

 やがて静かになった。



 再びしん…と
 森が静寂につつまれ、

 不気味な木がざわざわと
 揺れる。



 「…ッ」



 ツキの頬に涙がつたい、
 それでもただ呆然と…


 俯いて、痛む手首から
 流れる血を見ていた。



 ぱたり、ぱたりと
 雨が降ってきて傷口に滲みた。


 涙か、雨か、
 わからないが、顔を濡らした。


 きっとどっちもだ…と
 ツキは思いながら、雨に打たれる。




 「アルちゃん…」



 次から次へ溢れる涙を
 こらえきれず、ツキは泣き出した。


 子供みたいに叫びながら泣いた。





 ウルーが抱きしめてくれたのにも
 気がつかないくらいに…。


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