夏の日差しと狼のいろ。
アルSide*
目の前で、ツキさんが刺された。
目の前で、ウルー様と
兎が闘っている。
しかし、自分には
兎達は見向きもしない。
アルはただ呆然と
二人の姿を見つめて、
声も出せなかった。
別に、戦いに
なれてないわけじゃない。
むしろ慣れているくらいだ。
でも、はじめてできた"仲間"が
傷つく姿に
何をしたらいいか、わからなかった。
うちに、ツキさんがぐったりと
倒れながら、何か口を
ぱくぱくと動かしているのに
気がつき、その方向を見た。
ウルー様に飛び掛かろうとする、
少女。
にやりと笑う少年。
その瞬間、ぷつんと
アルの中で何かがはじけた。