夏の日差しと狼のいろ。



 「僕のお兄の名前はラクス。
  …狼には死あるのみ」


 ぱぁ、と光が増し、
 ツキは目をつむった。



 次開けたとき前に居たのは。







 手が鎌のようになり、
 頭の上に鎮座した耳が

 刃のように鋭く光り、
 さらには目から出た赤い光が

 異常さを感じさせる、
 人型のバケモノだった。




 ダウンしていたはずのラクスも
 普通そうに
 ラルズの横にゆらりと立っている。




 『ショータイムのハジマリだ!』




 重なった二人の声とともに
 二人はこちらに
 ありえない速さで向かってきた。



 ウルーがツキを
 肩に担ぎ、ひらりとそれを
 かわした。




 「ツキはここで待ってろ」


 ウルーは素早く後退し
 ツキを湖のほとりに座らせ、

 言う。




 返事をする間もないほどに
 あっというまにウルーは


 双子に向かっていった。




 一瞬にして狼の姿に
 かわったウルーは

 素早く攻撃をしかけるが
 まったく歯がたっていない。




 ツキは悟った。



 ー…勝てない。


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