夏の日差しと狼のいろ。


 (ウルーが死んじゃう…!?)


 アルは双子に恨みを
 もたれていないので、

 体が壊れる前に
 テイクオーバーはおさまったが
 ウルーはそうはいかないだろう。



 金色に輝く双子は
 血のような真っ赤な髪と
 兎の耳をゆらし、


 ぎらぎらと憎しみを込めた瞳で
 ウルーを見ているからだ。



 『僕らも本気をだそうかなぁ?』

 ツキがぼんやり双子を
 見ていると、二人はそう言った。


 ツキはその言葉にぞっとする。


 それに続き、
 ツキの耳に狼の遠吠えが聞こえた。



 『ア"ォ"ォ"ォ"…』



 ふりむくと、
 いつの日かに見た巨大な狼が
 全身の毛を逆立て、

 赤い瞳をひからせていた。





 「ウルー…?」


 ウルーには届かない声。


 
 双子達の体も
 光りだし、金色の体が

 光る兎の姿に変わった。




 『キィィィ!』


 奇声を発しながら
 二匹の金色兎が
 ウルーに向かっていった。



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