夏の日差しと狼のいろ。



 それからは
 ツキはただ目を見開き
 呆然とするしかなかった。


 あまりに神々しいー…
 神の戦い。



 ツキは一瞬、
 ウルーを心配するのも忘れて
 固まっていた。




 ようやく我に返ったころ。




 ウルーは理性を失い、
 暴走していた。


 双子達も、同じように。



 ツキは恐怖した。
 このまま暴れ続けたら
 ウルーは死んでしまう、と。



 しかしお互い
 攻撃をやめる様子はない。






 「ウルーっ…ウルー!
  もうやめて!もういいよ!」


 ツキは必死に叫び
 巨大な狼の足に掴まった。



 …必死に。



 「ウルー…もうやめー…きゃ!」


 思い切り振り払われ、
 最後のほうは悲鳴になってしまった。



 再び、ウルーが走りだす。



 そこでツキははっと
 気がついた。


 投げ飛ばされた痛みも
 忘れるほどに恐怖した。




 ー…ウルーの尻尾が…?



 砕けてきていた。



 どうやら、体に
 反動が返ってきたみたいだ。


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