夏の日差しと狼のいろ。



「お父様っ!」

ラルズが泣きながら駆け寄る。
ラスクもあとに続いた。

そっと体に触れると
父はうっすら目を開けた。


今にも消えそうな虚ろな
瞳が二人をとらえる。


「…お前…たち…を守れて…
よかっ…た…」


一度、優しく微笑み
震える手でラスク達を撫でると


穏やかに、父は…


「わぁぁあん!」


父は、死んだ。



仲間達の死体と
血のにおい、嫌な狼達のにおい。

湖のほとりで
二人の泣き声だけが響いていた。




そう、この時二人は決意した。


絶対、父の仇をとる…!








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