夏の日差しと狼のいろ。

「はぁ…っ?」


ラスクがきょとんと
涙まじりの目をこちらに向けた。


そして小さな双子達は
ぴったりと泣き止み
顔を見合わせる。

「ほ…ほんとに言ってんのぉ…?」

ラルズはまだ
涙を溜めたまま尋ねてきた。



そしてそれに答えるように
ツキはふわりとテイクオーバーをとくと
いつもの茶色の尻尾をふわりと
動かして微笑んだ。


「うん、ほんとよ」



二人の前にしゃがむと
ツキはその手をとった。

二人は抵抗もせず
大人しく手を握られている。


こうしてみてみると
二人はまだ小さな子供みたいで。

ツキはさっきまで
酷いことをされたのすら忘れ

赤い瞳の狼に怒りを抱いた。


「俺ら、お前達を殺そうとしたんだぞ
そんなの…いいのかよ…っ」



ラスクはばつの悪そうな顔で、
しかし瞳の奥では
何か期待しているかのような
また泣きそうな表情で

言った。



「確かにそうだけど…私は
そういうの、いいんだよ…」



ちらり、とアルの方を見る。

つられて双子達も
アルを見た。



ツキはちょっと困ったような顔で
微笑んでから二人を見上げた。


「あの娘も…はじめ、私を
殺そうとしてたのよ?」


二人はちょっと目を見開いて
驚いてるみたいだ。


とにかく、とツキは続けた。


「私達が探すから、もうこんなふうに
見境なく狼を襲うのはやめてね?」

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