夏の日差しと狼のいろ。
第四章▼赤い瞳と黒い影
見つめる赤の色
プロローグ*
『なかなか使えそうじゃねぇか』
真っ赤な水晶を見詰めながら
赤い瞳をした男は呟いた。
その深紅の瞳は
どこまでも暗く、
野心に満ちていて冷たい。
男は立ち上がると
ニヤリと笑った。
整った顔立ちの顔が
恐ろしく豹変して、
黒色の髪がざわりざわりと
広がり、のび、
やがてその姿が
黒い狼になった。
『楽しませてもらうぜ…ククッ…』