夏の日差しと狼のいろ。
「…さむい?」
ウルーはびっくりしたように
そう言い、
恐る恐る足を踏み出した。
ツキもそれに続いて
足を踏み出した。
「うぅぅ…」
やっぱり、寒い。
吐いた息が真っ白い。
早くも寒そうに
震えたアルは
またツキの肩に飛び乗り
もごもごと
ツキのローブの中に入り
顔だけをツキの首あたりから
ひょっこり出してから
満足そうにひげを震わせた。
『寒いから、ココが1番ですね』
「もう、こんなときだけ
利用して!アルちゃん冷たいし!」
ツキが不満そうに言うと
アルはじゃあ、と
意地悪そうに目を細めた。
そしてまたぴょいっと飛び降り
ウルーのもとへ寄る。
『ウルー様に、
入れていただきますもんね!』
たちまちウルーの
懐に潜り込んだ。
「もー…」
ツキは不満げに
唸り声を出した。
(私も猫になれたらいいのに…)
「もう、早く行こうよ」
ツキはぷんぷんしながら
川のほうへ向かった。
『川、凍ってるし
渡れそうですね?』
川のヘリにたって
川を見た。
昼の日差しで
ちょっと溶けそうなところも
あるが、大丈夫そうだ。
ウルーが先にわたり、
ツキもあとに続いた。