夏の日差しと狼のいろ。
「つ…冷た…」
勇気を出して踏み出した足も
すぐに引っ込めてしまった。
初めての、雪の感触。
アルはぶるっと奮えて
いつの間にか人間の姿に
戻ったウルーに
俯いて言った。
『…先、行ってください
私はあとから行きますから』
言えない。
雪にびっくりしているなんて。
人間の姿に戻ればいいとか
そんな話じゃないとアルは
思い、アルは黙り込んだ。
するとウルーが
アルをひょいっと抱えあげた。
「な、何すー…「ツキがな…」
アルの反抗する声をさえぎり
ウルーが言う。
「ツキが居ない間だけだ。
俺の肩にでも、乗っていい」
「…ウルー様…」
アルは素直に喜ばず、
ツンとしてみせた。
「まぁ、感謝くらいは
しましょうか」
ーそしてアル達は
足跡を追いはじめた…