夏の日差しと狼のいろ。
それを見て、サンドルは
唇を離した。
それから唇を舐めて
面白そうに笑った。
ツキは口を拭いもせず
ぐったりしていた。
体が痺れ、熱くて動かない。
「…は…っ…」
ツキは途切れ途切れに
息を吐きだし、
とろんとしたまま目を
少し開いているだけだった。
…何を、飲まされたの?
ツキがそんなことを
考えている間にも
サンドルは次の行動に移っていた。
「…キスぐらいで、情けねぇ小娘だ
クク…まぁ、お遊びは終わりだ」
動かない体で
目だけをサンドルに向けた。
にやりとわらった口に、
鋭い牙があるのが見える。
ツキはそれに気がついたが
依然として息を吐くだけで
動けなかった。
サンドルは
それがわかってるみたいに
妖しく笑って
ツキの耳元で囁いた。
「ようく、覚えておけ。
俺は吸血狼の、サンドル様だ」
それだけ言うと、
サンドルの鋭い牙がずぶりと
ツキの首筋に突き刺さって
鈍い痛みが広がった。