夏の日差しと狼のいろ。
ツキは驚きと、何故か
嬉しさが込み上げるのを感じた。
人間の姿より、速く、
よく動ける。
ツキはクイッと顎をあげ
叫んだ。
『これならあの二人に
追いつけるし、太刀打ちできるよ!
行こう!アルちゃん』
そう言ってアルの前に
ツキは伏せた。
アルが走るより
自分に乗ったほうが早く動ける。
アルも理解したのか
頷くと、猫の姿になった。
『こっちのほうが、軽いでしょう?』
おどけたふうにそう言うと
アルはツキの背中に飛びのった。
二匹の姿は白く、
雪に紛れるとほとんど見えない。
ツキは一声吠えると
小屋を飛び出し走り出した。