夏の日差しと狼のいろ。
しばらく進むうちに
いつの間にか
ウルー達は目の前だった。
アルもそっとツキの上から
飛び降り、
身をかがめて様子を伺う。
二匹はまったく気がついていない。
ツキはアルをちらっと見て
それから頷いた。
『私はサンドルを狙うから』
小声で、そう言った。
次の瞬間、
ツキの合図とともに二匹は
ウルーとサンドルに
飛び掛かった。
『何者だ、てめーら!』
サンドルが激しく
牙を剥いて飛び掛かってきた
ツキを振り落とそうとした。
どうやらツキだと
気がついていないらしい。
『わからないのなら、
きっと馬鹿なのよ!』
ツキは怒りに任せて
サンドルに噛み付いた。
完全にツキがおしている。
自分の牙をサンドルの
黒い毛に食い込ませながら
ちらっとアルを見た。
アルはあの、黒い影を出し
それでウルーを
高く、持ち上げている。
アルの影から出た、黒い影は
相変わらず邪悪なオーラを放っている。
不意に、口元で
サンドルの体がかくっとなり
抵抗しなくなった。
『まさ…か…お前は……』
そう言うとサンドルは気絶した。
どうやらいつの間にか
深い傷を負わせるまで
噛み付いていたのだと気がつき
ツキはあわてて飛びのいた。