夏の日差しと狼のいろ。
飛びのいたツキの傍に
ウルーの体が降ってきて

ぼふっと雪の上に落ちた。



気絶している。


おそらくさっきの位置から
アルが投げたのだろう。




ツキはふうっとため息をついて
人間の姿に戻った。




「アルちゃん、大丈夫?」



アルもすうっと人間の姿に戻った。



「ツキさんに心配されるほどじゃ
ありませんよ」


アルはぷいっと顔を背けて、
二匹の狼の傍に屈み、


ツキを振り向いた。




その顔が意地悪く笑っている。




「ツキさん、この馬鹿たちを
殺すつもりですか?


まったく、ツキさんったら」




どうやらサンドルの
傷を見て言ったらしい。



「ちがうよ、もう!」



ツキは怒ったように
服の下でばさりと尻尾を振った。



同時にツキは嬉しくて、
尻尾を振った。




やっと、強くなれた。



ー皆を守れるよ…




ツキは自嘲気味に笑い
耳をぴくっと動かすと


アルの横に屈んだ。




「大丈夫かな、この二人」



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