夏の日差しと狼のいろ。
「とりあえず、
起きるのを待つしかありませんね」
アルはため息をつくと
また猫の姿になって
ツキの懐に潜り込んだ。
「ちょっと、アルちゃん?」
ツキはひんやりしたアルに
不満の声を漏らした。
アルは無視してぬくぬくと
している。
「もう…私だけ寒いよ…あ、そうだ」
ツキはふふんと得意げに
笑い、狼の姿になった。
するとアルはぽふっと
雪の上になげだされた。
ツキは雪狼だから、
狼の姿だと寒くないのだ。
『ちょっと!ツキさん!
自分だけ寒くないからって!!』
アルはフーッと唸って
ツキを睨みつけた。
しかしツキは満足感に浸り、
きちんと座った。
体がきらきらとしていて
なんだか不思議。
『私だって寒いの嫌だもん』
ツキはそう言うと
尻尾を振ってアルを招いた。
『近くにいたら寒くないよ』