夏の日差しと狼のいろ。
ツキは痛むお腹をかばいながら
立ち上がった。
それからその場でぐるぐる回り
ラリィにどう伝えようか
戸惑った。
話せないのがもどかしい。
そんな時、ラリィがニコッと
笑ってツキの頭を撫でた。
「何か言いたいのよね?
大丈夫、言ってごらん」
その紫色の瞳は
全部わかってるんだよ、と
言っているみたいに
賢そうに輝いている。
ツキは迷ったのた、
雪狼の言葉で話してみることにした。
『桃色の髪をした女の子が
近くに居なかった?』
するとラリィは
少しびっくりした顔を
してから、また笑った。
「不思議な言葉、話すのね」
今度はツキが驚いた。
通じた…。
『そう、かな?
ところで、あの…』
ツキは先を促した。
「ああ、女の子ね?
うん、居たよ。無事だから大丈夫」
ラリィはすっくと立ち上がると
ドアのところへ歩いていき
おいでと合図した。
ツキはふらっとしながら
歩いて行った。