夏の日差しと狼のいろ。

長い廊下を歩いて行くと
いくつかの扉があった。



そのうちの一つを
ラリィは開けた。



部屋に一歩入った途端、
ツンとしたニオイがして


苦しげな悲鳴があがった。



ツキは焦って
ラリィを見上げた。



アルちゃんの声!



「大丈夫、すぐわかるよ」



そのままラリィは奥に入っていき

もうひとつあった扉を開いた。




さらに鼻をつく薬品のニオイが
して、ツキは口を歪めた。


しかし我慢してさらに奥へ
進むと大きなカプセルが

たくさんある場所についた。




その中の一つに
苦しげに悲鳴をあげる
アルの姿があった。




耳はなおされていたので
ホッとしたが

それよりもツキは心配になった。




『アルちゃんはどうなってるの?』


ツキがおろおろ聞くとラリィは
ちょっと困った顔をした。




「アルっていうのね、この人。

あのね、
原因はよくわからないんだけど

毒に犯されてるの…」





ー…毒!?



ツキはあの夢を思い出して
ぞっとした。




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