夏の日差しと狼のいろ。
『お疲れ様。よくやった』
見慣れた姿はそう言った。
ツキはこくりと頷き、
足元のネックレスを水ごと
すくいあげた。
きらきらと光るそれは
この世にあるどんな宝石よりも
美しい、そんな気がする。
『私とお前が合体するときが
来たんだ。お前は雪狼だよ』
見慣れた姿の自分は
氷のかけらみたいな髪が
水に反射して光って見える。
ツキは頷いた。
『私がお前の中に入ったら
魔法の使い方もすべてわかる』
ツキはまた頷いた。
"自分"は真剣な顔をして、
ツキに問い掛けた。
あまりにも真剣なその眼差しに
ツキは怯んだ。
何が起こるの?
『お前に、雪狼に戻る覚悟はあるか?
お前に、力を得る覚悟はあるか?
お前にー…』
『仲間を守る覚悟はあるか?』
風がふわりと舞い上がり
ツキの髪を乱した。
ツキは瞬きした。
そして。
「全部…全部覚悟はできているよ…」