夏の日差しと狼のいろ。

答えた瞬間、一瞬視界が
歪んだ気がした。


目の前がぶれる。



ふわりとまた体が
浮遊感に包まれたのは

すぐあとのことだった。



青空に向かって
体がぐんぐん押し上げられていく。



ツキは息ができなくなって、喘いだ。



もうダメだと思った、次の瞬間
ぴたりと空中に止まり
ツキは急いで息をすいこんだ。



下を見ると
光る水面ははるか下にあった。




「はぁ…はぁ…何、急に…?」




ツキが息をつき、
顔を空に戻すと

目の前に"自分"が居た。




『びっくりした?上空のほうが、
やりやすくて』




"自分"はニコっと笑うと
くるりと空中で向き直る。





澄んだ、青い瞳がツキを見た。




そして
"自分"の姿が光の玉になり、
ツキの前でふわりと舞った。




その光が
ツキの胸に飛び込みー…

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