夏の日差しと狼のいろ。
どくん、と鼓動がなり、
二つの鼓動が重なった。
次の瞬間ツキはまた
急速に水に向かって落下し、
水しぶきをあげて
水面ギリギリで止まった。
水しぶきとまばゆい青い光が
あたりを包み
ツキは何も見えなくなって意識を
手放した。
ー……!
ツキははっと目を開けた。
頭が重く、混乱している。
目の前に驚きに満ちたアルの
顔があった。
「ツキさん…?」
ツキはばっと体を起こした。
自分のすがたがいつもと違う。
髪と尻尾と耳は毛先だけが
雪狼特有の色になっていて
ほかはいつもの茶色。
目は片方だけ青色になっていた。
まるで今までの自分と
夢の中の自分が混ざってしまった、
そんなふうだ。
「ごめんアルちゃん。
大丈夫だよ、いつもと一緒だよ」
ツキはそっとアルに
声をかけた。
アルが、
ー…違う人を見るみたいな
寂しそうな表情をしていたから。