夏の日差しと狼のいろ。



アルははっと我に返ったみたいに
ツキと目を合わせた。



「ごめんなさい…気をとりなおさて
どうなったか、教えてください」



アルは少しぎこちなかったが
笑顔を浮かべた。



ツキはそっと話をはじめた。



「頭の中にいろんな魔法や、
雪狼が生れつきもってる知識が
蘇ったよ」



アルは頷いた。




「じゃあ、ミラ・レヴィラに向かいましょう
きっとサンドル達はそこに
向かうはずですよ」




ツキの体にゾクッと
寒気が走った。



フッとリルやイクアの顔が
浮かぶ。



イクアの言っていた"皆待ってる"

という言葉を思い出す。



ツキはふわりと吹いてきた
冷たい風に目を細めながら

手に力を込めた。



「行こう、アルちゃん」



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