夏の日差しと狼のいろ。

ー…



しばらくの間、ツキ達は
血をたどった。



予想以上にサンドルは
進んだらしく、なかなか
姿が見えなかった。




しかしサンドルに対する嫌悪が
ツキを進ませた。




ツキはいらいらとしていた。



アルともあまり言葉を交わさず
黙々と歩く。






「…あ」


前に、白を基盤とした町が
見えはじめた。


ーあれがミラ・レヴィラ?



自分が生まれた場所?




ツキは少し立ち止まった。


アルがこちらを見上げる。


ツキはアルに軽く頷きかけると
一歩踏み出した。



血の跡はとうとう
町の入口にまで続いていた。



ツキは青いほうの瞳を
細めて町を見た。



力の宿った瞳は、
遠くまで細かく見ることができる。



町は静かで、
サンドルが暴れ出した様子はない。



でも、何故か嫌な予感がした。



ー何かが始まるー…





「きゃあああ!!」


「!?」



もうすこしで着くというところで

誰かの悲鳴があがった。


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