夏の日差しと狼のいろ。
ツキは気がついたら
すごい勢いで走り出していた。
すぐにその場所についた。
白タイルの地面に、
点々と血がついている。
家の隙間からまた悲鳴があがった。
ツキは路地裏に駆け込み、
その光景を見ていらいらが
爆発したみたいに叫んだ。
「ああああああああ!」
サンドルがリルの腕に噛み付いていた。
不意打ちをくらったらしく
小柄なリルは抵抗できずにいた。
ツキは次の瞬間、ふわりと
姿を"消した"。
『チッ…しつけぇ野郎だ』
サンドルは気がつかなかったのか
いらいらした様子で唸っている。
リルは"気がついていた"。
次の瞬間、冷たい冷気に
辺りは覆われ
"サンドル"が凍りついた。
「姫!…助けに…?」
サンドルが離れたリルは
再び姿を現したツキに駆け寄った。