夏の日差しと狼のいろ。
視界が滲んだ。
ツキは俯くとそこにしゃがみ込んだ。
どうしたらいいの?
ツキが俯いていると
ふと何かの気配がしてツキは
顔をあげた。
「…っ、ウルー!?」
前に立っていたのは
ずっとまっていたー…
ウルーの姿だった、なのに。
ウルーじゃない気がした。
相変わらず長い前髪の下の
漆黒の瞳からは
何の表情も読み取れない。
「ねぇ…ウルー、なの?」
ツキは涙を拭いて、
おそるおそる話かけた。
しかしウルーは答えなかった。
代わりに顔をあげて
こちらを見た。
濁っていて虚ろな漆黒の瞳が
こっちを見たと思った次の瞬間、
瞳が赤になって
ウルーはにやりと笑った。
まるでサンドルみたいにー…