夏の日差しと狼のいろ。


「ウルーじゃない!」

ツキは叫んだ。

するとウルーの姿がくつくつ笑った。



「よく見破ったな、小娘。
俺が死ぬのはもうわかってたからな…


ウルーに乗り移らせてもらった」





ウルー…いや、サンドルが
意地悪く、醜悪な笑みを浮かべた。



「やることだけやって俺は
死なせてもらうぜ、小娘よぉ」



ツキは立ち上がり
さっと呪文を唱えた。



手に、氷で出来た剣を出し
素早い動きでツキは
ウルーの姿をしたサンドルに
剣をつきつける。




「いい加減にして!」



しかしサンドルはへらりと
笑ってみせた。



「俺を切ろうものなら、
ウルーも死んじまうなァ?」



ツキはぐっと息をのみ
刀を下ろした。



ウルーを傷つけるわけにはいかない…



サンドルはそれを見て
勝ち誇ったように笑い、


乗っとったウルーの体の
お腹あたりに爪を突き立てた。




「言うこと聞かねェと、
ウルーの命は保障できねぇぜ…?」



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