夏の日差しと狼のいろ。

「…っ、最低!!」


ツキが一瞬怯んだすきに
サンドルは駆け出した。



「待って!止まって!」



ツキはサンドルを追って駆け出した。



路地裏から飛び出し
サンドルの背中を追う。


身軽なウルーの体が軽いのか
すごいスピードで先を行っている。



サンドルが屋根に飛び上がった。


ツキはあとを追うように
屋根に登ろうとした。



しかし次の瞬間
ツキは驚いて立ち止まった。




「残念だったな、小娘?
ウルーの力を忘れていたのか?」




ツキははっとなった。



サンドルの瞳が暗褐色の光りを
帯びて、体が光っている。



ーまさか狼化する気!?



あの巨大な狼になられたら
町が壊れてしまう。




「やめて!!」



ツキは叫んで屋根に飛び乗り、
サンドルに飛び掛かった。




しかしサンドルはひらりとかわした。



何より、ツキは攻撃できなかったー…





『終わりだ、小娘ェ…』




最後のほうは地を這うような
低い声になり


気がついたら目の前に
巨大な銀色の狼ー…


黒いオーラをまとった銀色の狼がいた。


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