夏の日差しと狼のいろ。
『ア"ォォォォォォ!』
銀色の狼が咆哮をあげた。
大気がびりびり奮え、
町がガタガタと揺れた。
町の住民らしき悲鳴が
あちこちからあがる。
たちまち咆哮だけで
綺麗な白い地面に亀裂が走った。
『最高の気分だ!!』
サンドルは声をあげた。
そのまま高く飛び上がった。
近くの家の上に着地し、
家がグシャッと潰れて
砂埃が舞う。
「助けてーッ!」
不意に小さな子供の悲鳴があがり
ツキはバッとそっちを見た。
小さな子供が崩れた瓦礫の
下敷きになっている!
今にもサンドルが
また足を突き出しそうだ。
ツキはサッと 駆けて行き
子供を救い出した。
サンドルがぐるりと向きをかえる。
『子供をがばって俺に
勝てるのか?愚か物め!!』
サンドルがぐあっと口を開き
こちらに向き直る。
ツキは焦り、路地裏に
逃げ込もうとした。
そんな時、誰かの声がした。
「…姫!こっち!」