夏の日差しと狼のいろ。


『なんだ?また来やがったのか…』


サンドルはウルーのものである
銀色の狼の体を揺らし

歯を剥き出した。



こんな大きな狼、
普通に勝てるわけがない…




いくら魔法で太刀打ちしても

ウルーの体だと思うと
強い攻撃はできなかった。



ーどうしたらいいの!?




ツキが迷っている間にも
サンドルは町を壊そうと
暴れ回った。

そして不意にツキに振り向く。


『どうしたァ?小娘!!』


サンドルは大きな前足で
ツキを払いのけた。


よけきれずツキの体に
その前足が思い切りあたり

ツキは吹っ飛ばされて
壁にたたきつけられた。



「う"ぁ…っ」



ツキは悲鳴をあげて
その場に崩れ落ちた。



苦しい…
ツキは視界が霞むのを感じた。



ウルーの体に、攻撃なんてできない…



『コイツを庇ってやがるんだろう?
そんなふうじゃ俺には勝てねぇな!』




どうして…



ツキは倒れ込み、
肩で息をした。



また…
また、ウルーを、皆を…


傷つけて、しまう…





諦めかけたその時
ツキはハッと思い出した。





< 348 / 376 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop