夏の日差しと狼のいろ。
ツキは無理矢理からだを起こし
さっと逆方向に走り出した。
早くしなければ、自分の体は
動かなくなるくらい弱ってしまう。
体のあちこちから
血が流れ出ている。
大きな体でサンドルは
こちらを振り向くが
ツキは残った力で町を駆け抜けた。
町の店屋を順番にまわっていく。
どこ?どこかにないのー…?
サンドルが迫る足音が聞こえたがツキはそれでも走り続けた。
走りには自信がある!!
ツキが走り続けていると
「ツキさん!!」
前方で、アルの声がした。
ツキは真っすぐにアルの所へ
向かい、アルの姿を確認した。
アルはにぃっと笑うと
手を振った。
そのとたんアルが何かを投げる。
ツキはパシリとそれを受け取った。
受け取ったそれはー…
赤ワインの瓶だった。