夏の日差しと狼のいろ。


*アルSide


ー少し戻るー…



アルは呆然としていた。

目覚めたツキさんがあまりにも
違う人みたいだったから。



「ごめん、アルちゃん
大丈夫だよ、いつもと一緒だよ」


ツキさんにそう言われ
アルははっとした。



自分は今、
どんな顔を…?


アルは拭えない不安を振り払い
ツキさんと先を急いだ。









町が、見えてきたとき。


ツキさんは軽く目を見開いていた。


青いほうの瞳は
懐かしがるみたいな輝き。


茶色のほうの瞳は
不安そうな怯えた輝き。



アルは悲しくなった。



ツキさんは、ツキさんですよね?



自分を助けてくれて
殺そうとした自分を信じてくれた、

優しいツキさんですよね?



アルは涙が出てきそうになるのを
こらえていた。


ウルー様も、ツキさんも大好き。


そんなことを考えながら
進んでいると町にぐんと近づき


誰かの悲鳴があがった。



瞬間、ツキさんの表情が変わった。



そして、飛び出していった。



ーぞくり。

あの時、
アルはツキに恐怖を覚えたー
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