夏の日差しと狼のいろ。

酔い色と青と銀


ツキSide*


ツキはアルから受け取った
ワインを見た。


ツキは顔をあげてアルを見る。



「お礼はないんですか?
放っていかれたのにちゃんと
助けてあげたんですから!」



アルはいつもみたく
腰に手をあてて
尻尾をぴんと立てて言った。

ちょっと泣きそうな顔を
しているけど…


ーよかった。
いつものアルちゃんだー…



ツキはぎゅっとワインの瓶を
抱きしめた。



「ありがとうアルちゃん!
きっと、きっとウルーを助けるから!」



アルはにっと笑うと
向こうに駆けて行った。



ツキは笑顔のまま、
アルを見送る。


アルはきっと、町の人達を
助けるのを手伝ってくれるんだろう。




ツキはさっとワインの瓶を見た。

よくわからないけれど
キツイお酒なのはわかった。



これをあの巨大な狼に
飲ませるー…。できるだろうか。



体中が怪我と疲労で
悲鳴をあげている。



でも、やらないと。



ツキは走り出した。

前方にはサンドルが迫っていた。




「絶対負けない!!!」


ツキは叫び、背中に氷の羽をつくり

飛び上がった。


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