夏の日差しと狼のいろ。
ー……
ゆらゆら、何かが揺れている。
ツキはふっと目を覚ました。
辺りは暗闇でツキは水に
ぷかぷか浮いている。
ツキは上を見上げたまま、
ふと体の痛みがまったくなく
体から傷が消えているらしいのに
気がついた。
体や髪にこびりついた血も
まったく消えている。
「…………。」
いつもの夢?
そう思ってからツキははっとした。
夢にいたもう一人の"自分"は
もう、いないのだと。
これが夢じゃないとしたら。
ツキはゾクッとして
体を起こそうとしてバランスを崩した。
瞬く間に体が沈んでいく。
パチャパチャともがく音だけが
暗闇に響いた。
ツキは泣きそうになった。
ー…私は死んだの?