夏の日差しと狼のいろ。


ツキはどきりとして黙り込んだ。

「……えっと…っ…」


ツキが口ごもりながら
ようやく声をしぼりだすと
ウルーは漆黒の眼差しを

さらにこちらに向けた。




間近にあるウルーの顔に
ツキはぎゅっと目をつむりながら
答える。



「……いいよ…っ、消毒、して」



ツキはそのままぎゅうっと
目をつむったままにした。



しばらくすると
ウルーがさらに顔を近づけて
くるのが感じられた。




その距離、1ミリ。



次の瞬間 唇に柔らかいものが
触れていた。


ウルーのは温かくて
安心できた。


それこそサンドルにされた
冷たい何かを消毒してくれる、
そんな気がする。




「……っ…」


今までにない、
深いキスだった。



ツキは頭がくらくら
するのを感じながらも
幸せを感じていた。


ウルーが大好きで、愛おしくて
仕方がなかった。


ウルーとずっと一緒に
傍にいてほしいと思った。


ウルーがいないと
もう生きていけないよ…










しばらくするうち
ようやくウルーが離れた。



「…はぁ…っはぁ…」

ツキは肩で呼吸をしながら
赤い顔をしてまだ目をつむっていた。



「…大丈夫、か?」


ウルーが心配そうに
ツキの前髪を撫でた。


ツキはしばらくそうしていたが
やがて息が整うと
にっこりと笑ってみせた。


心からの、笑顔。



「ありがとう…ウルー
私、すっごく嬉しいよ」



ウルーもそれを聞くと
ニコリと微笑した。

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