夏の日差しと狼のいろ。
「ーところで、ほかの皆は?」
しばらく話したあと
訪れた心地よい沈黙を破ったのは
ツキだった。
するとウルーは
悩むように唸る。
「よくわからないんだが…
気をつかってくれたらしいな
何に気をつかったのか
わからないけどな」
ウルーはそういって
ふーっとため息をつく。
(何に気をつかったのか
わからなかったの?まったく…)
ツキはやれやれと
苦笑いをした。
きっとツキが死ぬかもしれないと
思って泣いていたウルーに
気を使ってくれたんだろう。
「もう、ウルーが
泣いてたからでしょ」
ツキがからかうように言うと
ウルーは顔を赤くして言った。
「べ…べつに、泣いてないぞ
俺はただ…ちょっと…その…」
ウルーは口ごもると
ぷいと顔を逸らした。
「ウルーってば~」
ツキがくすくす笑うと
ウルーはちょっとふてくされた
ような、
でもまだ赤い顔をしたまま言った。
「…ああ、泣いてたよ
茶化すな…ハァ」
大袈裟にため息をつくと
そのまま耳をぴくぴく動かした。
ウルー、可愛い。
ツキがにまにましながら
ウルーを見ていると
コンコンとドアがノックされた。
「ツキさん、起きたんですか?」
アルの声だ。
急にわりこんだノックの音に
ウルーはちょっと不満げに
「ああ」と言った。