夏の日差しと狼のいろ。



「てめー…この銀髪!」

イクアはぴょいっとツキから離れ
ウルーを叩いた。


「…何するんだ」


ウルーは不機嫌そうに唸り
イクアを思いっきり小突く。


ウルーって意外に、
そんなこともするんだ…



ツキは苦笑いを浮かべながら
その様子を見守る。


「やんのか、あぁん?」


イクアは挑発するように
耳をぴこぴこ動かし、

べっと舌を出した。


ピクリとウルーが反応する。



「…出来るものなら、やってみろ」


ウルーがゆらりと立ち上がると
そのまま二人は
よくわからない叩き合いをはじめた。



さっきまで静かだった部屋が

賑やかになった。



ツキは嬉しくて微笑んだ。



こんなにいい仲間に
めぐりあえて、私は幸せもの…



ツキは傷の痛みも
つい忘れてしまうほど幸せで


ふわふわした気分になっていた。




そんなとき、ツキの持っていた時計が
カタカタ振動した。



双子にもらった物だ。



ツキはカパリとそれを開いた。
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