夏の日差しと狼のいろ。



「あ、ミリシアさん」


時計に映し出されたのは
久しぶりに見る、ミリシアだった。


闇猫をまとめる、すごい猫?


「ツキちゃん、大丈夫?
大変だったと聞いたけれど」



ミリシアは心配そうに
琥珀色の瞳を一瞬細め、すぐに
違う意味で細めた。



「…何でこんなに五月蝿いの?
ツキちゃんが怪我しているのに」


細められた琥珀色の瞳から
読み取れる表情は、

怒る母親のそれだ。




「あの…み、見ます?」


ツキは苦笑いを浮かべながら
アル、リル、ウルー、イクアが
暴れている向こう側を映した。



「……」


時計に映った、ミリシアは
わなわな震え、そして。




「静かにしなさい!!!」


怒声が響き渡り、
アル達はびっくりして
ぴたりと動きを止めた。




(ちょっとシルクに似てるかも…)


ツキだけは苦笑いを浮かべながら
そう思っていた。
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