夏の日差しと狼のいろ。


二ヶ月後ー…



「き、緊張する」


ツキは広場の手前に座って
ドギマギしていた。


すっかり、怪我も治った。


怪我をしている間は
ツキはウルーとアルの三人で
小さな家を借りて休養していた。



イクアから「姫」が帰ってきたのを
知った町の人達が

嬉しさのあまり押しかけんばかりの
勢いでツキに会いたがっていると
聞いた。




しかし怪我がひどく、そうは
いかなかったので

町の人達には内緒で
こっそりしていたのだ。



そして、昨日。


怪我が治ったころを見計らうように
リルがさっさと家に来て、


アルを(わざと)押し分け
ツキの傍に座るなり言った。



「姫、明日広場に、きて。
皆に知らせる。…姫はこれから

ココで雪狼をまとめる…
"神"になる…から」



「え?…ええ?」


ぽかんとするツキをよそに
リルはニコッと笑った。



そして立ち上がり、背を向けて
扉から出ていこうとした。


でも一度出て、顔だけ
ひょっこり覗かせると


「…皆、姫を待ってるよ」




それだけいい尻尾を振り
出て行った。





そして今日ー…




< 370 / 376 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop