夏の日差しと狼のいろ。
足音が止まった。
少女の周りを大人達がぐるりと囲む。
「よくも手間かけさせやがって…この犬っころが!!」
そう、少女に努声を浴びせた。
最後の力を振り絞り少女はキッと大人を睨み、牙を剥いて唸った。
しかし少女にはもはや、助かる道がないのはわかっていた。
今の私には何もできない…
大人達が一斉に少女にを向け、少女は自分が死ぬ、と覚悟した。
そう。
銃の引金が引かれる瞬間―
…ォォォォ…ン
アオォォォォォォォン....
紛れもない狼の遠吠えが聞こえた。
大人達はぴたりと動きをとめた。