夏の日差しと狼のいろ。
それでもウルーは耳だけをすませて、動かない。
ツキは最終的に「ちょっとっ、待って!あとで言うからっ」
そういうと自分のしっぽを抱きしめて後ずさって一息ついた。
ウルーはさっきの場所から動かずに、じっと、こっちを見たままだ。
「…っ…」
ツキは熱くなった顔を両手でぱたぱた仰いだ。
ときどきウルーが本当に、ただの狼のように思う。
なんというか、気まぐれだ。
そして、ツキはウルーが動かないからすっくと立ち上がると声をかけた。
「あ、嵐だから帰れないのよ?焦らなくていいでしよ」
そう言うとウルーはため息をついてようやく動いた。
それでもやっぱり少し拗ねたような顔で「ああ」と言った。