夏の日差しと狼のいろ。
ツキも目を離せず近づく白猫を見やった。
さっきまでの楽しい気分はなぜか吹き飛び、不安感が身体を支配していた。
まばたきをした、次の瞬間。
ザンッ、と白猫が飛び上がった。
次の瞬間には あの瞳が、すぐそばにあった。
きらりと琥珀色の瞳が光る。
ツキは驚いて逃げようとした。けれど。
ーー!!
足が動かない。
『逃げても無駄。』
頭の中に、美しいような凛とした声が響く。
(金縛り…!?)
ツキがそう思った間に、もう意識がもうろうとしていた。
意識が飛ぶ最後のとき、猫がうっすらと銀色に輝く何かに変わった気がした。